不動産の売買マーケットにおける相場形成の特徴は、極端にいえば去年まで1億円だったものが、今年は2億円になってしまうという気まぐれさがあることだ。それに反して、賃料の場合は、極端なことは起こらない。賃料10万円の部屋が、突然、20万円の部屋になることはほとんどありえない。売買ではタイミングを間違えると2億円していたものが、1億円に暴落することもある。バブル時代には、この差が10倍になったこともあった。10億円していた物件が1億円になったのである。これを掴んでしまった人の人生は真っ暗だ。それに反して、安定した賃貸マーケットが形成されている都心や、それに準ずる周辺エリアにおける投資行為は、手堅く検証しながら進めさえすれば、リスクを最小限に抑えることができる。このようなエリアでは、すでに街の評価が確立しているから、新駅が開業したり新たな商業施設が開業したりしても、とくに大きな影響を受けることがない。逆に大型の商業施設が潰れても、影響は小さい。多種多様な都市のインフラが、お互いをカバーし、補完し合っているからだ。むしろ近くに大型商業施設が完成すると、それによって古くからある商店街が生き返ったりすることもある。六本木ヒルズができたことで活気づいた麻布十番などは、その好例だろう。不動産で収益を上げたい場合、まずは賃貸マーケットが成熟していれば、必ずしもキャピタルゲインに頼る必要はない。インカムゲインだけでも十分と考えることもできる。このメリットは、非常に大きい。むしろ、昨今の状況は、インカムが安定しているところのほうが、キャピタルゲインも得られるのである。
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