「二人がそれぞれに部屋を持った」第三期とは、書斎をまた新しくつくった結果かというと、そうではない。実は第三期、第四期があって、その後の第五期にやっと三つめの書斎ができるのだ。書斎をつくるのは内装だけとはいえ、造り付けの棚類などが多いのでなかなかの工費を要するから、そうホイホイできるわけではない。そこで子供の成長にしたがって既存の部屋の使い方を次々と変えて対応する時期がかなり長くあった。第二期の初めに公立小学校の四年だった長男は、間もなく中学受験に挑むことになった。
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すると弟と一緒では落ち着いて勉強できない、というか、そうではないかと親のほうが懸念して元の細長い部屋に帰ることになった。ただし二段ベッドは弟と共用の部屋に置いたままで、寝る時はそちらに行くのだから、独占するスペースは十分だし「弟から離れる」ことにそれなりに満足感もあったらしく、長男は自分だけの領分となった部屋の壁に好きなタレントやご贔屓の中日ドラゴンズのペナントなどを貼ってごきげんであった。これも「個」の発達段階への一つの対応として意味があったかも知れない。一方、「これまでの子供部屋が納戸兼家事室として使える」という妻のメリットは一年ぐらいしか続かなかったわけだ。