日本のマンションが、広さ・天井の高さ・住む人への配慮といった点で、欧米のそれと較べて大きく劣っていることは、およそ日本で1番問題となり、トラブルの原因となっている上下階の生活音が聴こえる実態や、プライバシーの問題などが、欧米ではそれほど問題視されていないことからも容易に分ります。危険が伴うから子どもが自由にベランダに出ていけないということは即ち、開口部が常に閉じられているということでもあります。特に高層階は風も強いため、なおさら室内は密閉化され、機械で空調や換気をしているのですから、太陽の光を浴びる機会が少なく、アトピー性の子どもが高層階に多いというのも頷けます。このように見てきますと、高層階の環境では、子どもの成長に必要な多くの大切な要素が損なわれているのは明らかです。住まいの選択は親が下しますが、選択の基準は、駅への距離、塾や習い事教室への近さ、夜景が美しいといった物理的かつ情趣的なことばかりで、一見子どものためを考えているようで、実はあまり考えていないと言わざるを得ません。高層階での暮らしが、子どもにさまざまな形で影響を及ぼすという調査結果が出ていても、真剣に考えず、「子どもの目線」でいつも見ていると言いながら、結局は「大人の尺度」で判断してしまうのは、高層階住宅の話ばかりではありません。親がどんな環境を与えるかは、子どもの人生にとって決定的とも言える影響を及ぼすのに、大人にとっての利便性、快適性を優先してしまうのが、悲しい現実です。
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